さすがに次回からは具体的なノウハウやテクニックにも入りたいんですが、今回でいったんこれまでの話をまとめさせてください。
何をまとめるかというと、「ネーミングの戦略」をです。
いったん、ネーミングセンスとはどういうものか、ChatGPTさんに聞いてみます。
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ま、だいたい、多くの人たちが考えるのはこういうものでしょう。
ですが、私がこれから話していくノウハウでは、特にネーミングの補助者として生成AIを活用するのが一般的になることを踏まえ、下記のような能力と定義していきます。
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ぼくがかんがえた「ネーミングセンス」の定義
こんなところです。
- 名前をつける対象を選ぶ力
- 対象に良い名前を考えつく力(※いわゆる狭義のネーミングセンス)
- 多数の候補名称の中から良い名前を選びとる力、または一つも選ばない力
名前をつける対象を選ぶ力(第3回で紹介)
「ここにネーミングすれば印象的だ!」という対象を選び取る能力です。
たとえばファッション業界において、洋服のブランド名をいくら考えに考えたところで名前だけでアタマひとつ抜け出すのは難しいでしょう。センスの塊のような人たちがそれぞれに思いを込めて素敵な名前を考えている業界だからです。
ですが、ここであまりネーミングの対象とならない領域――たとえば製法や販売方式、接客ポリシーその他、「え? そこに名前つけちゃう?」というところを選んで名前をつければ、ほんの少しの工夫で認知を高めることができます。
いわば、ネーミングにおけるブルーオーシャン(=競争が激しくない領域)を探し出し、少しの努力で認知度を高めることを可能とする「戦略の力」です。
対象によい名前を考えつく力
これがいわゆる世間でいうところの「ネーミングセンス」。
次回から詳しく解説していきます。
多数の候補名称の中から良い名前を選びとる力、または一つも選ばない力(第1回で紹介)
現在、そして近い将来において、ネーミングのアイデア出しには生成AIを使用することが一般的になると思います(もう一般的になっている?)。
従来、人間があーだこーだとアタマを悩ませつつ数十~100程度のネーミング案を考えているうちは、良い名前が思いついた瞬間に「あッ! これだ!!」と自分で分かるものでした。実際、良いネーミングを思いついた瞬間って、脳内に電流が流れるような感覚ありますからね。
が、生成AIで機械的にアイデア出しをしていると、(これも自分の実感であり主観ですけど)その「気付き」が甘くなります。また、リストされた名称案からほんの少し変えれば良い名前になりそうなモノがある場合に、この「あと一歩の案」をみすみす見逃してしまうリスクも増大します。
このようなリスクを減らすために、出てきたネーミング候補案についてその良し悪しを判断するスキルは確実に身につけてほしいワケです。ちなみに、ここ(=良い名前か否かを判別するスキル)に関しては、ほぼ理詰めでマスターできます。
結局、ネーミングは理論でできるのか?
世界各国におけるネーミングの由来みたいなものを見ていくと、ある程度、その考え方を応用できるとは思うんですよ。単語の組み合わせ方とか、一つの言葉を様々な国の言葉に変換していって、そのなかに良さげな響きがあるヤツを探すとか。
特に「各国語に変換」なんて、生成AIがもっとも得意とするところですからね。
実際、namaelのネーミングの時にもやったんです。「名前」って言葉を英語から中国語、フランス語、ロシア語、イタリア語、ラテン語、エスペラント語っていろんな言葉に直してもらって。
mercari(メルカリ)ってラテン語で「商売」の意味じゃないですか。なんですよ。だから、アレの真似して、当たり前の言葉を各国語に直したらどっかの国の言葉で面白いのが出てこないかなって。
(結局、語感的に「ネーム」とか「ノム」とか「ノーメン」とか陰気な語感の言葉しか出て来なかったので、そっちのアプローチからは採用しなかったんですが)
namaelの管理人として、この問題について自分なりの見解をハッキリさせると、
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「ネーミングは概ね理論的にできる」
「でも、理論を超えた直感が入り込む余地を、アタマの中に(わずかであっても)常に残しておくと、さらに突き抜けることができる。
……といったところです。
Twitterのネーミングのきっかけがコレに該当するんです。もともとtwitchって名前が候補にあったけど、辞書でtwitchの次にtweet(小鳥のさえずり)があって、そっちから急にイメージが膨らんで決まったというヤツ。
こういう意思決定プロセスだと、日本の大企業とかじゃなかなか真似できないと思うんですよね。「今まで決まった前提をひっくり返せない」とか言って。
そう考えると、ネーミングには既存の積み上がった理屈のすべてを吹き飛ばすような直感的要素が間違いなく「ある」と思います。