ネーミングは生成AIにお任せ?②

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 前回の記事では自分のトンチキタイトルを題材にしつつ、名前募集をAIで行って「良い名前」を手に入れることの難しさについてお話しました。

 特に、名前の元になりそうなテーマやキーワードを与え、そこから生成AIにネーミングさせるだけでは、単純に関連語句をつなげるぐらいしか(※2024年8月現在のChatGPT-4oでは)できてないなあ、と。

 とはいえ、namaelの管理人として、これで生成AIなんてネーミングに使えないのは分かったねフフフ……と安心するのも早いと思ってます。

生成AIのネーミングにおける弱点は2つ

 実際、やっていて気づいたんですよ。生成AIがネーミングを行う際の弱点はズバリ、

  • 「プロンプトに与えた言葉から連想してくる関連語句の範囲が意外と狭い」こと
  • 「それ以外では当たり障りのない言葉しか拾ってこない」こと

 これだなと。

 要するに、発想のスケールが比較的小さいことが弱点なんです。

言い換えれば、「(AIの考え方の枠組みが)ポリコレに毒されすぎていて、特に指定でもしないかぎり、通常は穏やかで無難な表現しか使ってこない」とも。

まあ、AIが利用者から悩み相談とか受けたときの回答として「そんなヤツは殺ってしまえ!」とか言い出したらヤバいですからね。あまり刺激的だったりリスキーだったりする表現を用いてこないのは当たり前か。



 このテの弱点を埋めてあげる。

 つまり、生成AIに発想豊かな人間の真似をさせてやれば、数を挙げることに関しては人間を遥かに凌駕する生成AIなので、ネーミングにおいても強力な武器になるんじゃないかと。

 では、具体的に「発想豊かな人間の真似をさせる」とはどういうことか。

 それは、まず優れたネーミングの「由来をパクる」というものです。

「由来をパクる」とは?

 由来をパクるとは、ネーミングそのものや言い回しをパクるのではなく、最終的なネーミングにたどり着いた発想のプロセスに着目し、その発想プロセスを自分の商品等の事例に置き換え、生成AIに再現してもらうことです。

 ハッキリ言ってしまえば、名前が生まれたときの由来やエピソードを上手にパクって、自分の商品・サービスその他のネーミングにも応用しちゃおうという発想です。

 ちなみに、考え方そのものには著作権なんてそもそも発生しないし、あくまで使用態様は「自分の題材への応用」なので、「おめー弁理士のクセに積極的にパクリとは何事だァ!」とかナシでお願いしますね。

名前の由来の探し方

 まずはコレ。名前の由来とか、有名な商品やサービスのネーミングの由来なんて、検索で探すと腐るほど出てきます。

 「ネーミング 由来」「商品 名前 由来」とか、Googleで検索してみてください。

 いっぱい出てくると思います。

実例1『じゃがりこ』でやってみる

 で、今回は教材として『じゃがりこ』を。スナック菓子のじゃがりこですね。

 コレを使おうと思います。

 まずはじゃがりこの名前の由来。知っている人も多いかと思います。

  ↓  ↓  ↓

「じゃがりこ」の名前の由来について教えてください。

「じゃがりこ」のコンセプトは、女子高校生がかばんに入れて持ち歩けるような、袋菓子ではない、箱やカップ入りのお菓子を作ろう!と、開発された商品です。

中身も容器も、今までのカルビーのお菓子とは全く違う、新しいタイプの商品が生まれました。

新しくできたそのお菓子を、開発担当者の友人であるりかこさんが、とてもおいしそうに食べている姿を見て、商品名を思いつきました。

じゃがいも+りかこ →じゃがりかこ →「じゃがりこ」

https://faq.calbee.co.jp/faq_detail.html?id=31 カルビーHPのFAQより抜粋

 要するに、開発者の隣で美味しそうに食べてる友達を見てふと、

 「じゃがいも食べてるりこ……(たぶん、その方のあだ名が「りこ」なのでしょう)」

 「じゃがりこ……」

 ……あ。(響きも悪くない。コレで良くね?)

 そういう感じで決まったのでしょう。まあ、AIが最初に行うのは無理なネーミングですね。
 (こんな経緯で決まったネーミングにゴーサイン出した人の功績も大な気はします)

 でも、一度そういう発想法が分かってしまえば、こういうコトができるんです。

  ↓  ↓  ↓

 「じゃがりこ」のネーミングプロセスをチョコレートに応用。

 すると、

  ↓  ↓  ↓

チョコ花子 チョコ結衣 チョコ美咲 チョコ彩 チョコ詩織 チョコ優子 チョコさくら チョコ春香 チョコ里奈 チョコ葵 チョコ千晶 チョコ瞳 チョコ真紀 チョコ亜美 チョコ愛美 チョコ恵 チョコ茜 チョコ智子 チョコ奈々 チョコ萌 チョコ桃子 チョコ由紀 チョコ紗英 チョコ香織 チョコ麗子 チョコ涼子 チョコ有希子 チョコ芽衣 チョコ遥 チョコ華 チョコ希 チョコ純 チョコ礼子 チョコ直美 チョコ真弓 チョコ百合 チョコ明日香 チョコ里美 チョコ瑠璃 チョコ麻衣 チョコ晴美 チョコ美月 チョコ桜子 チョコ凛 チョコ泉 チョコ乙女 チョコ舞 チョコ恋 チョコ愛理 チョコ莉子

 こんな感じでガーッと出してくれます。チョコリナとか何とか使えそうじゃないすかね。

実例2「まるで○○」ネクタイ

 「まるで○○」というフレーズだけで、もう分かる人は分かるんですけど、「まるでこたつソックス」に習ってやってみようという例です。

 まるでこたつソックスは元々「三陰交をあたためるソックス」という名前で発売されていた商品を名前変えて市場に再投入したら売上が爆上がりした(17倍とか)という、ネーミング界の神事例。

 このリブランディング事例のキモは、ネーミングのよって立つところを、開発者が思い描いていたイメージ(=三陰交をあたためるソックス)から、顧客の感じる思い(=まるでこたつのように暖かい!)に切り替えたところです。顧客視点を見抜いた結果、にわかマーケッター風にいえば顧客インサイトを鷲掴みした結果ってヤツですね。

 では、事例に戻りましょう。

 今回ネーミングしようと思っているのは「便利ネクタイ」です。いちいち結ぶんじゃなくて、ネックのとこにゴムがついてて引っ掛けるだけでいいヤツ。商品としては昔からあるヤツですね。アレの高級版みたいなモノをネーミングしようと思います。

 商品の狙いというか、お客様に味わって欲しい感覚(※あくまで顧客視点)はというと、

  ↓  ↓  ↓

  • 着脱がカンタン(なにせ便利ネクタイなのでw)
  • 便利ネクタイなのに高級感がある!

 上記を踏まえて、こんなプロンプトを食わせてみました。

  ↓  ↓  ↓

 この事例の場合、パクり方は実にシンプルで、「まるで○○」という表現を、ChatGPTにいくつも例示させればいいんです。

 もちろん、単純に「まるで○○」を生成AIにいくつも出させるより本当は先にやるべきことがあって。それは「顧客側が商品を使ってみてどう思うか?」という率直な感想や声の洗い出しなんですけどね。今回はネタが便利ネクタイなんで顧客ニーズがハッキリしています。

 結果、こんなん出ました。

まるで宝石 まるで王宮 まるで美術品 まるで王者 まるで貴族 まるで白金 まるで豪邸 まるで天国 まるで絢爛 まるで一流 まるで宮殿 まるで神殿 まるで天使 まるで女王 まるで宝殿 まるで極楽 まるで神秘 まるで逸品 まるで至宝 まるで帝王 まるで黄金 まるで逸材 まるで神技 まるで名作 まるで天上 まるで華麗 まるで王冠 まるで栄光 まるで光輝 まるで夢幻

 そうそう、これもChatGPTの特徴なんだけど、例示パターンが日本語なら日本語ばっかり、英語なら英語ばっかりといったように、言語が偏りやすいんです。

 なので、このような偏りが出た場合は指示を追加します。

  ↓  ↓  ↓

で、結果。

まるでロイヤル まるでエレガンス まるでラグジュアリー まるでプレミアム まるでエグゼクティブ まるでクラシック まるでグランデ まるでエリート まるでプレステージ まるでマジェスティック まるでゴージャス まるでリュクス まるでハイエンド まるでスーパープレミアム まるでロマンス まるでインペリアル まるでサファイア まるでダイヤモンド まるでエメラルド まるでゴールド まるでプラチナ まるでパール まるでオーラ まるでヴィンテージ まるでロマンス まるでミラージュ まるでグレイス まるでエクセレンス まるでリミテッド まるでプライム まるでレジェンド まるでルネッサンス まるでブリリアント まるでセンセーション まるでセレブリティ まるでアイコニック まるでチャーミング まるでエピック まるでサンクチュアリ まるでヴィクトリア まるでパラディオ まるでクリスタル まるでシャトー まるでレガシー まるでサンシャイン まるでメルセデス まるでパノラマ まるでデラックス まるでフュージョン まるでシンフォニー

 便利ネクタイに「まるでメルセデス」って何やねんと思いつつ、個人的には「まるでセレブリティ」がヒット。セレブリティでは長いので、「まるでセレブ」。

 まるでセレブネクタイ。

 ……

 ………

 なんつーか、「まるで」をそのまま使うのはちょっと自分のプライドが許さないので、もう少しだけ試行錯誤したい。

  ↓  ↓  ↓

 結果。

速やかに 迅速に 素早く すばやく 手早く 速めに 早く 瞬時に 一刻も 早く たちどころに 即座に 即刻に 直ちに 速攻で ファストで いち早く 速速 クイックに ラピッドに 急ぎで さっと さっさと ハイスピードで 俊敏に 早速に 素早いテンポで タイムリーに びゅんびゅんと さくさくと ハッスルして たちまちに 素早く 効率的に パッと 間髪入れずに フリクションレスに 軽やかに 爽快に ぴゅっと 効率よく すいすいと ひらひらと ふわりと 速く ずんずんと ぐんぐんと しなやかに スムーズに みるみる はやる気持ちで シャープに 軽快に

 読んでると、なんかSっ気のある女性に早くしろと催促されているような気分になりますな……

 この例の中には出てこなかったんだけど、ここで自分にヒラメキが降りてきて。

 スピーディな表現。これだなと。

  ↓  ↓  ↓

 「秒で」

 「秒で」「セレブ」「ネクタイ」

 命名:「秒でセレブネクタイ」

 えっと、ひとつ言い訳をしておくと(笑)、べ、別にAI使ってネーミングしているからといって、途中で自分の中にアイデアが降りてきたときはそれを使っちゃいけないワケじゃないんだからね!!

 とまあ、今回はこんな感じで締めておきます。従来であれば名称案を50も100も考えるのは大変だったんですけど、AI使うと「数を出す」というコトだけはカンタンなので。

 ネーミングに役立つ生成AIの使い方はまだいくつもあるので、順次紹介していきます。

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